お弁当サン音1:オムライス - 1/2

 俺は朝渡された弁当箱を思い浮かべながら、少し不安になった。

「――今日の昼、なんだろうな」

 昨日、昼メシのたった1メガサイクルの間に、今までただメシを作ってもらうだけというサウンドウェーブとの不文律の関係が公の場で取り決められた。
『これは命令だ!サウンドウェーブはサンダークラッカーと結婚を前提にしたお付き合いをすること!』
 結婚前提のお付き合いといっても、サウンドウェーブにはほとんど打算しかなかったようだし、別に結婚したところでなにも変わらないだろう。(俺の弁当の感想を喜んでいたといのは驚きだったが。カセットロンは『サウンドウェーブの料理は当たり前』だから、褒めることが少なかったのかもしれない)
 というわけで、そんなメガトロン様の怒涛の号令の後の初めての昼飯だ。俺は正直、昨日から楽しみにしていた。
 が、朝、渡された弁当の包みは、いつもののサイズじゃなかったのだ。

「どう考えても、小さいんだよなあ」

 もしかして好意を持ってる奴でもいたのか?
 いや、それにしても、いくらサウンドウェーブって言っても、そんな早々に嫁苛めみたいなことをするわけ――……いや、分からねえけど。
 今までの幸せ弁当ライフのせいで、昼飯にいいもんにありつけるのは当たり前という身体に調教、もとい体質変化している。あのメシの味を求めて、俺の胃はえさを待つペットのようにぐうぐうと鳴いているのだ。

「そんなに俺と、ってのが嫌だったのかね」

 俺は小さくため息をついた。