「なんか今日、お前やけに機嫌いいな」
「そうか?」
今日は朝から、幾度となくそんなことを言われる。
そうか?などとすっとぼけてはいるが、実際俺の機嫌はとてつもなくよかった。昨日とは打って変わり、俺はもう今日の昼飯時が楽しみでしかない。というのも、何が中身か既に分かっているからだ。
いや、あの蓋を開けるまで何が入っているのか分からないどきどき感というのもたまらないが、今回は別だ。
今朝、サウンドウェーブに弁当箱を渡された時、こう注意されたのである。
『ハンバーグのソースは溢レルと染ミなって悲惨ダカラ、気ヲつけろ』
――ハンバーグ!
俺がサウンドウェーブが居なくなった後、小躍りしたのは想像に難くないだろう。とにかく、古今東西、これだけは言える。
ハンバーグが嫌いな男は居ない。(なお、菜食主義者は除く。いや、しかしそういうやつらも豆腐ハンバーグとか食うし、やっぱり『男はハンバーグが好き』で多分間違いない。)
そんなわけで、今朝から俺のテンションはだんだんと昼飯時に近づくにつれ、だんだんと高くなっていった。
自分ながら、単純な男だ。いや、男だからこそ、このテンションの上がり具合になるのだ。それに、元々デストロンは肉好きの奴が多い。そして俺もそれの一人なだけなのである。
いやあ、サウンドウェーブと付き合うことになって本当に良かったぜ!
俺はひとりほくほくと満足感に酔っていた。
――と、ワクワクしていたまでは良かった。しかし、俺はうっかり失念していたことがある。
周りの奴らのことだ。
あんな全員の前でサウンドウェーブの弁当がいかに美味しいかの証拠立てをしてしまったのだ。昨日、オムライスの一件で姿をくらませたのもあって、周りの奴らが俺をほっとくわけがなかったのである。
浮かれすぎていたと言う他無い。