なぜ俺は体調を崩してからでないと、自分が疲れていることに気がつけないのだろうか。
目が覚めると、体が重く、寝台から起き上がれなかった。熱があるようで、頭がぼーっとする。そのまま黙って横になっていれば、排気音がいつもより大きいのにやっと気付く。考えて答えを出すまでもなく、風邪である。
まずい。とにかく起きてカセットロンに朝食を……
と、起き上がろうとした時、ふいに頭の中に『有給消費』という言葉が浮かび、もう一度もたげた重い頭を元の位置に下ろした。そう言えば、数日前、定期連絡において有給を取らないのをレーザーウェーブに注意されていた。
「……レーザーウェーブめ、アイツ、気付イテたナ」
俺は声に風邪の兆候が出ないため、自分で常に気を払わなくてはならないのをいつも忙しくしていると忘れてしまう。そういった自己管理を欠いた自業自得の結果ではあるが、紫の機体の思惑を邪推して毒づく。俺が何日か休めば、セイバートロン星からあいつが召喚される。それで――
とそこまで回らない頭で考えて、俺はブレインに負荷をかける無駄な行為を止めた。
……たまにはいいか。もう今日休めば、週末だ。朝早くではあるが、あいつなら起きているだろう。
レーザーウェーブに通信を入れると、案の定数コールで出た。
――忌々しい。