grow older with me(仏英)

国の誕生日なんて、祝うのはその国の国民だけぐらいなのかも知れない。
休日だしね。

こちらとして見れば、もう指で数えられなくなった歳と向き合ってため息を一つ……というところだろうか。
くるくる変わってきた(もしくは名前すらないかもしれない)自分自身の歴史を探れど、存在することに気づいた年すらかなり曖昧で。それでも、いやに自分が国だと認識した時のことは覚えていて。こんな自分の過去を考えるなんて、自分も老けたものだ。
どろどろ、蝋燭みたいな温かさが垂れてきて力が溜まる感覚。時が経てば経つほどに自分の存在を感じた。 昔の日本にいる九十九神っていうモンスターも、俺たちのそれと似ていると日本が言っていた。随分前に、日本とはこの話をした。
あと、人がいないと生まれないところも共通点だ。あぁ、俺たちはモンスターなのかも?駄目だ。思考さえもがおかしくなってきた。

「なぁ、イギリス。お前も、自分が生まれた時のことを覚えてるか?」
「は?」

隣で(俺がつくった)俺の誕生日のケーキの苺をつついていたイギリスに、どうしようもない不安のようなものにぶつけてみる。
頭沸いてんのか、そんな暴言ですら嬉しくなるくらい日常が欲しかった。
しかし、イギリスの口からその日常は唱えられずに、意外な言葉が俺に返ってきた。

「……お前も歳喰ったな。そんな似合わない哲学なんか噛んでないで、今と未来だけ考えればいいんじゃねぇのか?」

そんなこと分かってる、と思っても胸のモヤモヤが晴れたのが分かって。
畜生、本当に俺も歳喰ったな。
昔は、お前やらとやんちゃやったけどお前がいて良かった。それだけで、今はいい。
なんかこれ、まるっきり歳をとった代名詞のような台詞だけどさ。