古臭いパブにこれまた年季の染み込んだ照明の白熱灯が燃えている。ぼんやりとした光が天井から降ってくるホコリをきらきらとさせているのを、俺はジョッキのグラス越しに眺めていた。
何だか、シャボン玉のような関係だなぁと思いながら俺はビールを呷る。そんなに綺麗なもんでもないが、触れてしまえば壊れてしまうというのとふわふわとぎこちない様が我ながらうまく例えられているとは思う。
触れないようにすれば、風に吹き上げさせて飛ばして割らせようとする。微妙な距離感が大切なのだ。近づき過ぎればたった一言で割れてしまう。
もうひとつ例えるならば、綱渡りの上の少女だろう。可愛い美少女ならばなおさら良いが。
「お前、俺のことをどう思う?」
「殴りたいワイン野郎」
隣でうつ伏せでグラスを抱えたイギリスがそう呟いた。泣き上戸め。酒が入ると寂しがり屋になるくせに甘え方すら不器用なのは可愛くない。あとは、たまに飲む酒の量と記憶が無くなるほど泥酔して誰の目の前でもすぐに服を脱ぎ散らすのもよくない。 そんなこいつのことが好きな俺の恋愛の神様は、痔と腹痛でも持ち合わせているらしい。
苦笑いしたい気持ちをビールと一緒に飲み下した。