tonnerre(仏英) - 1/2

窓の奥で白い稲光が、遠くの森を照らして消えていった。
夜の冷たい雨がやってくるらしく、寝間着から露出した腕が少し肌寒い。腕を組んで身震いを隠していると、後ろで古い木の軋む音がした。

「イギリス、おいで。俺が一緒に添い寝してやるよ」

ちろりと後ろを振り向くと、ちょうどフランスがベッドのシーツに潜り込んでいる所だった。 ここで俺は自分のベッドに俺以外が入ったことを怒るべきなのだが、まぁ、フランスだし……一緒に寝なければ良いかと疲れた思考で遠くに追いやった。
まだ遠くから雷鳴が聞こえる。
突然、ポタリと雨粒が降ってきた。すると競うようにたくさんの粒が激しく地面を叩き始め、それはざあざあと音をたてて空気を湿らせた。
ぼんやりと幽かに、手に持ったろうそくが暖かい。まだ後ろではフランスがたてるベッドの木の音が鳴っている。そしてまた俺は振り向くが、今度はシーツの間にあの金髪は見えなかった。

「おチビさんは寝る時間だよ」

ろうそくが横からの手に取られる。
ふっという小さな呼吸音に加えて火が消えて、辺りは真っ暗闇になった。

「窓辺にいるだけで、こんなに手が冷えてるな」

後ろから抱きしめられた感触に驚くが、首筋に触れる毛先で誰なのかは否応なく分かってしまう。暗さへの不安に胸の前の服を掴む。が、後ろから回された手で上からぎゅっと握られた。
フランスの手は温かかった。

「いつも俺は1人で寝てるんだから、今日だって平気だからな」

ふん、とそっぽを向いてもフランスは離してはくれなかった。