まだ、拗ねてんのか。
部屋に入っても、こちらをちらりとも見るわけでもなく、わざとらしく窓の外を見ている。こうなったら、俺が潔く降参してあいつの為に飯でも作るか、若しくはナイトタイムの映画にでも誘うかでもしないと、絶対にイギリスの不機嫌は直ってはくれない。
だけど今日に限って、メモだらけの白い冷蔵庫は空っぽだし、あいつの好きそうな古い映画はやらないようだ。
俺が買い物に行ってる間にあいつは怒って先に寝てしまうだろうし、拗ねたままのイギリスとレンタル屋に足を運ぶのも面倒くさい。
今日はデリバリーで何か頼んで、テレビでも見ながらカウチ・ポテトでもさせれば少しはましになるだろう。
あいつも悪いわけだし、俺が気を遣わなくてもいいんだろうけど。
意地っ張りだからな。
若しくは、惚れた弱味か。
ため息混じりに、イギリスの髪の毛を弱く引っ張った。
「こっち向けよ」
こっちむいたらお兄さんが、不機嫌な坊ちゃんにキスしてあげるよ。
いい加減、機嫌直せよ。