いつもの君がいい(サン音)

 クライマックスの負荷でホワイトアウトしたブレインが復旧し、思考がアクティブ化される。「出しすぎた」せいか処理の遅い頭で見え方に違和感を覚え、自分が元に戻れたのがなんとなく分かった。

「……戻れた、か」

 やっと見慣れた体と視界が戻ってきた。見下ろすサウンドウェーブの反応はまだない。胸部から下にオイルが飛び散っている。サウンドウェーブもイけたらしい。

 だからこそ、俺が戻れているわけなのだが。

 コネクタが入ったまま元に戻ったらしく、急に広がるを得なかったサウンドウェーブのレセプタ内はキツい。抜かずに何度も行為を続けた為に、吐き出されたオイルでナカがドロドロになっている。まだ自分自身は萎えてはいないものの、射精感で全てが気だるい。上がりきった熱が何故か抜けきらずにこもり、このまま眠ってしまいそうになるのをこらえる。
 入ったままってわけにもいかない。サウンドウェーブはスリープに入っているようだし、とりあえず、抜いて俺もーー
 そう思い、絡まった脚を解こうと動いた瞬間。
 サウンドウェーブの機体が震え、ぱたぱたと音を立ててオイルが跳ねた。
 起きてたのか。

「なあ、あんた……」

 そう声をかけかけてあまりの驚きにヒューズがぶっ飛んだかのように発声装置へのシグナルが詰まって止まる。
 か細い低いうなり声をあげているサウンドウェーブには俺の声など届いていないようで、あらぬ方向に視点を向けている。少し腰を動かすと、無意識にか動きを合わせて震える。ずっとくすぶっていたのが一気に爆発したからか、完全にトんじまっている。
サウンドウェーブ。
 名前を呼びながら、反った首筋に口づけする。衝撃で眠気が吹っ飛び、不完全燃焼にこもる熱がまた上がってきた。

「……やっぱり、あんたは無我夢中になってる時が、一番かわいい」