神様は不公平だから(土独)

日本が連れて来てくれたトルコというところは、というか、中東はかなり適当なところのようなところだ。
頼みごとを言えば、『明日』とか『神が望むのなら』と返ってくる。俺のところとは全く違った、ルーズでのんびりとした文化で、観光に来るにはめんどくさそうだと少し思った。しかし、俺とよく似たたちといわれる日本とはかなり友好が深いようで、それも不可解でもあった。
もちろん、そんな文化を持った国を理解するすべもなく、なんとなくで流されているようにも思う。

「おい」

ん、と後ろから声が返って来た。俺より背が高いのか、首筋から生え際に息がかかってかなり気味が悪い。
しかしながら何故か、いつまでそうしてるつもりだホモ野郎、とは後ろのそいつに言えない。が、

「なんでぃ。離れろってか?」

分かってはいるようだ。
思わずため息がでる。

「…分かっているなら早くしろ」

ぱっと体が拘束を解かれてよろめく。すると今度は、前から抱きしめられた。
馬鹿力め。
自分の体術が通用しない奴なんて、かなり久しぶりに見たぞ。
そいつがつけている仮面の中からじっと覗き込まれるのは、かなり不気味で、俺はその目から一番逃げられるところまで体を捻った。

「離せといっただろう」

怒気を込めて言ったつもりだったが、笑って流された。

「イン・シャー・アッラー」
「またそれか…全く、お前の望みは何だって言うんだ。俺はいつまでお前に付き合って、こうしてらねばならんのだ」
「そうさなドイツ、てめえが俺を好きになってくれるまでだな」

なっ、とまで紡いだ唇を塞がられる。
あぁ神様は不公平だ。こんなのは俺が折れるに決まっているだろう!