ざくろの色 (1968)

『ざくろの色』(1968)。セルゲイ・パラジャーノフ作。
Juno Reactorの”God is God”のPVに使われてて、前にも一度見ようと思ったけど観ながら寝落ちた作品。今の勢いなら見れる!と思い、鑑賞。最近、バンパイア生活してるので、夕方の四時とかに起きたから大丈夫かと思ったら、半分くらい見て猛烈な眠気に襲われて十時くらいに寝てしまった……。
どこを切り取っても美しい映像。ただ、ストーリーはあるけど理解しづらい。一番最初にシンボリズムやアレゴリーで示すよって書いてあったのですが、アルメニア文化にゆかりのない日本人の自分が見てもどこまでがそういう文化でどこからがシンボルなのか分からんのが残念。キリスト教的シンボルも見られて、でもちょっと東方教会っぽくて私には分からないし。でも、ソ連に組み込まれたけれど、西アジア・北方・東欧の文化が混ざり合っていてとてもアルメニア文化って魅力的。
日本だとざくろジュースとか1000円くらいするから絶対に買わないけれど、アメリカだとすごく安いから飲みだめ食いだめしてる今日この頃。修道院でもりもり食べてるシーンがありましたけど、食べるうちから手から腕へ果汁が滴って、血のようだなといつも思います。キリスト教の宗教画的にはざくろはたしか復活と再生への「希望」のシンボル。ギリシャ神話的にはハデスがペルセポネに食べさせた死の国の果物。それだけに、一番最初のざくろとナイフからざくろの果汁がにじみ出るのがとても印象的。詩人は殺されたのか?それだと、最期の懺悔はできたのか?煉獄行き?でも、死を許されたっぽいところを見るとそうではないのか。あと、王妃が自殺っぽく見えたんですけど、あれはなんだったのか。死の天使が盲目っぽいのも死の不条理を思わせますね。
なんか火と水への、特に火への言い含みが多かった。火は詩人の燃える情熱でもあり、彼を焦がす苦難なのかなと思ってた。詩人の”You are a fire. Your dress is red.”と王妃の“You are a fire. Your dress is black…”あたりから特に。詩人の老年期に”I am wandering, burned and wounded, …”とか火を思わせる言葉が多い。彼のミューズがざくろの果汁を彼にかけているから、芸術への探求が彼を焼き殺したのか。でも黄泉の旅路にも竪琴を追いかけるんだから、死しても詩人であるってことなのか。詩人やodeに歌われた人や物が塵に還っても詩は残るとするとなんかシェイクスピアーっぽい。すると、詩人の幼年期のこの言葉が光ります。”Books must be well kept and read, for books are Soul and Life.  Without books, the world would have witnessed nothing but ignorance.  You should read aloud for the people to hear, in benefit of their souls… since many are unable to read what is written.”
 
むむむ、なるほど、面白かった。けど、謎しか残らない。雰囲気だけ味わいたかったら、先述のJuno ReactorやファンメイドのAMVとかで十分かも。
*他ブログの閉鎖を機に細々書いていたものの転載*