サイレント映画2本

『戦艦ポチョムキン』(1925)
食べ物腐ってたから水兵さんがブチ切れて反乱起こしたとか世界史で習ったなあ、と思いながら観始めました。有名な『映画史上最も有名な6分間』のオデッサ階段のシーンは本当に素晴らしかった。構図が単純だろうと、実際に起こってなかろうと、見ている人を悲しませる・政府軍に対して怒らせるという目的は上手に果たされてるんだから馬鹿にすることじゃない。良く撮ったなあと思う。
それにしてもエキストラの人数がすごい。先日の『メトロポリス』もすごい数使って映画会社が潰れたとか聞いたけど、これはただ働きかな?プロパガンダ映画と言われるけれど、実際貧しい中にいたら、殺されるのもためらわずに戦いを挑んだ人には(自分ができないから)敬意を払うだろうなあ。まあ、実際はポチョムキンの船員たちはあまり受け入れられなかったと聞くが。そこらへんがフィクション交じりのプロパガンダなのか。ロシアは戦争時、捕虜になった兵士が捕まって大喜びしたって聞いたことがあるから、兵士の従軍事情は実際もっと酷かったんだろうなあ。民衆の前に兵士がお上に対して蜂起するんだから。げに食べ物の恨みはすさまじい。
軍艦上の生活とか、攻撃時、進行・出力全開時の様子とかよく分かってその点もかなり興味深い。分かってたけど蒸気機関とはいえ、中は全部手動なんだよね。砲台って重いんだなあ。
映画の内容と関係なく、アイルランドのじゃがいも飢饉とかも思い出されて、自分は恵まれてるなあとまでぼんやり思ってしまった。
 
『カリガリ博士』(1920)
某バンドの名前の由来と聞いてずっと密かに観てみたかったカルト映画。基本的に顔が怖い。パブリックドメインなのでこれもニコニコで観ましたが、みんな思うところは一緒だなあとコメント見てて思った。小道具大道具のセットにまっすぐな線が少ないから、ちょっと不安感を覚える。何を言ってるかは簡単に推測できるんだけれど、でも場所とかうんぬんは良く分からなかった。「院長」って言葉で初めて白衣・病院だって気づいたし。
とにかく、おもしろいけど、クオリティ的には微妙でした。あと、サスペンスシーンの直前なのに、字幕間違ってるって!「アラン、僕たちは彼女を愛しているけど、彼女が僕らのどっちを選んでも友達でいよう」って訳がとんでもないことになってて笑った。その誤訳へのコメントで「この翻訳もドイツ表現主義」っていうのに爆笑。その後の字幕を考えるに、誤植ってことなんだろうけど。
どんでん返しオチは使い古されてるとはいえ、やっぱり良いな!カルト映画ときいてどきどきしてたけど、そこまでカルトくさくなかったなあ。でも人間ってこういう他人の妄念につよく惹かれるのってなんでなんでしょうね。不思議だ。
*他ブログの閉鎖を機に細々書いていたものの転載*