フレレナ
その…俺も男の子なわけでして、頭を撫でられると子どもだと思われてると思われてるのかなぁというか、とにかく急に触れられると正直どきっとするというか。頭を撫でられるのは嫌じゃないし、照れくさいだけで嬉しいんだけど。
「いや!違うよ!別にねぇちゃんが触ったのが嫌だった訳じゃないんだ…ただびっくりしちゃって!」
悲しそうな顔をするねぇちゃんをフォローしながら、嬉しさで恥ずかしさで自分の頬が上気していくのが分かる。
ああ、ちょっと、カッコ悪いぞ俺。
ねぇちゃんはこちらをポカンとした顔で見ている。そうだよな。こんなの俺らしくない。じっと見つめられることで、やっといつもの自分を取り戻せた。
ん、と咳払いをして見られてしまった失態を誤魔化す。
「とにかく、えっと、一応俺もねぇちゃんより年下だけど男なんだから」
あっ、とねぇちゃんが息を呑んだ。
「あ、そうだよね。ごめんね、男の子だもんね。女の子に頭なでられたりしたら恥ずかしいもんね」
ふうっと息を吐くようにねぇちゃんの笑顔が消えた。…そういう顔をしてほしかったんじ
「私、リズとかアーウィンとか、好きな人に撫でられるの好きだったから……フレディの髪にも触ってみたかったの」
もう触らないから。ごめんなさい。ねぇちゃんはぺこりと頭を下げた。
好きな人、簡単にそう伝えることが出来る彼女の素直さには、少し救われている気さえする。
俺はそんな彼女の手を取る。温度の低い手。俺の指も緊張感で少しだけ冷たくなっていた。その手はぎゅっと握ってほどかないまま、隣の椅子に侵入するように距離を詰める。
「ねぇちゃん…俺も。俺もねぇちゃんのこと好きだよ」
その途端、ねぇちゃんが嬉しい!とにっこりと笑った。年齢の割に小さく見られがちだとこぼしていた素直さと幼さ。俺の言う「好き」が、ねぇちゃんの言う「好き」と少し違うことに気づきもしない。
小さく首を振ると、不思議そうにこちらを見つめる。
「フレディ?」
「違うんだよ、ねぇちゃん。俺がねぇちゃんのことを好きって言うのと、ねぇちゃんが言ってるのとは」
じっと顔を覗きこむと、ねぇちゃんが息をのんだ。お互いの息がかかるくらいの至近距離。フレディ、どうしたの?赤い唇が不安そうに少しだけ上下し、俺の名前を漏らした。
「…レナ、」
名前を呼ぶと、かあとねぇちゃんの顔が朱に染まったのが分かった。そのまま顔を近づけると、薄く閉じた目の向こうでねぇちゃんが目を見開く。
ねぇちゃんの瞼を閉じさせながら、俺はこれから、ねぇちゃんのことをどう呼んだらいいのかなどとふと思った。
2010/12/13