roapwalking(仏英) - 6/6

音をたてるような短いイギリスからのキスを、目を見開いたままに受ける。イギリスは相変わらずの頬の熱さが余計に赤くなっていて、もう一度胸元に頭を擦り付けられながら言葉が紡がれた。喋ることとその言葉達は振動して、心臓もそれにあわせて早く心音を鳴らしている。
照れているのか、イギリスの会話は口ごもっていた。

「……言っておくが、俺はお前のこと嫌いじゃないぞ」

いくら酔っ払っていても、自尊心の強いイギリスが(酒の勢いだとしても)こんな甘い言葉を交わすはずがない。
じゃあ、本気なのか?
馬鹿だ馬鹿だとは言ってみたが、本当にこいつは馬鹿らしい。まだまだ形容する言葉がたくさんあるかわりに、俺の開いた口からは乾いた笑いが響いただけだった。

「馬鹿野郎。俺もだ、イギリス」

今度は俺からキスをする。
綱渡りの細い縄の上のイギリスが何を考えているのかはまだ分からない。が、シャボン玉が弾けたのは確かで、一本の綱の上の俺はその綱をつたって来たイギリスと二人で飛び降りた。