それから、心地良い酔いがお互いの間に漂ってきてしばし快い沈黙を楽しんでいたのだが、ふっとイギリスがうつ伏せていた顔を上げた。
「……お前は?」
え?思わず聞き返してしまったが、何を聞いているのか分かっているから余計に驚いてしまう。
「お前はどう思ってる?」
「…可愛くねー馬鹿野郎だよ」
皮肉よりも何よりも、俺は笑う。
急な質問への焦りも、これでうまく隠せただろう。
そうか、と怒りもせずにぼうっと返したイギリスに、そろそろ帰ろうかと肩を叩いてやった。
お互いに、酒ぐらいで本心が漏れるほど馬鹿じゃない筈だ。綱渡りの細い縄の上のイギリスは、何を考えているのかは知らないが、何百年以上そうやってきた俺を馬鹿にしてるのだろうか。
もう一度肩を叩くと、酒が空いたグラスをのけたイギリスが立ち上がり、俺らは店を出た。