roapwalking(仏英) - 5/6

「おいおい、今何時だと思ってんだよ」

後ろからぼやかれ、笑い声を止める。振り向くと、何故か俺の顔を見て笑い顔になったフランスがいた。立ち止まった俺にゆっくりと歩み寄ってくる。フランスと同じ高さの身長がブロックの高さと相まって、隣に追いついたそいつを見おろすことが出来た。
そこから、かかとをずらす。フランスの胸元に飛び込むように体を倒すと、支えられるように抱き留められた。何してんだ危ないだろうと呟く体に、甘えて頭をくしゃくしゃ押しつける。

「まったく何やってんの酔っ払いさん」

鼻を鳴らすだけの返事をした。フランスの笑ったのが、振動してとても心地良い感じられる。
腕の中から見上げて、その金髪の間に指を入れると、喉がごくりと上下したのが手の隙間に見えた。輪郭をたどるように温かい頬に手を添えると、かき分けた髪の額に口をつけた。
青い目が吃驚したように見開いた。

「……お前、本当に酔ってんだな?」

酔ってるのは否定しないが、せっかく人が折れて素直になってやったのに。

「『殴りたいワイン野郎』、可愛くない馬鹿野郎で悪かったな。好きだからキスしたに決まってんだろ、ばか」

分からないフランスに、今度は額ではなく唇にキスを落とした。