roapwalking(仏英) - 4/6

お前、俺のことをどう思う

低い塀の平均台で綱渡りをするようにステップを踏んでみると、ふっとさっきのフランスの言葉が浮かんできた。
あれ、俺、なんて答えたんだ?

馬鹿野郎。ワイン野郎。万年発情期。
思い当たる言葉が多すぎる。が、間違っても、感謝しているだなんていう肯定の言葉は言ってないはずだ。
俺たちの関係は、サーカスの綱渡りのように危なっかしく不安定だ。さっきのフランスの言葉は、まさにそれをかき回す泡立て器に近い。象を俺たちと同じ縄に乗せるのと同じである。

お前、俺のことをどう思う?
口の中で転がすのと、なんとなく足元を見たのは同時だった。

『お前はどう思ってる?』
『…可愛くねー馬鹿野郎だよ』

細くて頼りなくて歩きにくいと思っていたボロボロのレンガブロックが意外と太いことに驚き、笑ってしまう。

「殴りたいワイン野郎って言ったのか」

俺たちも、本当は危険な綱渡りなんかじゃなく、このレンガみたいにタフで頑丈なんじゃあないのか。それなのにお互いおっかなびっくりびくついていて。
馬鹿みたいだ。
そう言いながら、俺の笑いは止まらなくなっていた。