受け取ってよ!
喜望峰を通らなくても貿易が出来ると運河を共同で作ったのはいいが、まさかのエジプトの『風邪』がこちらまでさし迫ってきた。
「だから、坊ちゃんはこれにサインするだけで良いんだよ」
「誰が、お前となんか」
多分、見せ物料をとってもいいくらいの見事な攻防戦がその狭い部屋で、繰り広げられている。
婚姻届、普通は恋人同士が提出するためのものが悲しくも、喧嘩ばかりの天敵同士の間でひらひらと舞っていた。
「運河にしたって元々はお前が、俺の建設の邪魔してきたのがいけないんだろ?エジプトの運河の会社の株、買い占め始めやがって!」
「×××野郎はだまってろ!」
汚い言葉で罵りあっても、やはり了解しないイギリスにフランスもイライラが募ってくる。押し倒せば、こっちのもんだと思っていたが、やはり風邪のせいか、本気が出てこない。
「俺が妻のところに記入でいいから」
「絶対嫌だ!」
受け取ってよ!
いいじゃん、結婚してくれよ。絶対、幸せにしてやるからさ。
2008/8/21 (titled by A course)