その時俺はそこにいない
もし、シズちゃんが幸せになったとしてもその隣に俺がいることはない。俺は男で、シズちゃんが人類の中で一番嫌いな人間であって。流石に挙げたしたら切りがないお手上げ状態だ。もう考えるのはよそう。だって全部考えてみれば、自分という存在の全否定でしかないじゃないか。それでも、俺の存在が消えてもシズちゃんが本当に笑ってくれはしないことも知ってるし。殺すと言いながらシズちゃんは俺にのうのうとクソッタレな情報屋なんて仕事をしながら生きていくことしか許さない。
ナイフを持ちながら、皮肉だと笑った。
「本当に、完膚なきまでにズルいよね」
「あぁ?」
目の前の折原臨也が、ナイフをパチンと開きながら半笑いとともにそんなセリフを呟いた。何を言っているんだ。ズルいのも何もかも、全部手前じゃねえか。 俺にはこのミノ蟲の言うこと全てがまだ理解出来ない。もし、こいつを理解することが出きる時が来ても臨也の隣に俺が居ることは絶対にない。当たり前だ。俺はこのミノ蟲理論じゃあ、ミノ蟲の愛を受ける資格のない人間外の化け物でしかないらしいからな。
「まあ、シズちゃんがズルかろうとなんだろうと俺はこの関係嫌いじゃないからもうどうでもいいや」
そう言いのけると、シズちゃんが珍しく俺の意見に同意するように笑った。
2010/5/31 (titled by くのいち)