終わりかけのそれにすべてなすりつけて
もうすぐ春だと自分たちの周り、全てのものが口を揃えてそう言う。それらから目を瞑るように、俺はイギリスの体を求めていた。春が来たら、互いに空しいと感じているこの体だけが繋がった関係がなくなる。なくなってしまう。そんな気がする。いいや、関係を繋げている理由が消失する。
寒かったから。
ただ側にいたから。
その理由がなくなったら、泡のようにぱちんとはじけて消えうせて…何事も俺たちの間には無かったことになるだろう。肉体の欲以外に愛したり愛されたりする記憶もないままに、何も残らず何も生み出すこともなく、『寒かったから』お互いすり寄ったという事実だけが残るのだろう。
臆病な自分たちを認めたくない俺たちは…ただその空しい関係の一点から、足を踏み出して抜け出すことはきっとない。
自分の身が一番可愛いと思ってるくせに相手にすり合う。
この寒い寒い季節が終わって春が来ることに怯えながら、冬の雪の日のように穏やかに胸の中にしまっておける日がくるのか自分たちのことなのに全く分からなかった。
2009/2/10 (titled by Sting)