通信で指定された中央部まで飛ぶと、メガトロン様がいらっしゃり、フレンジーはすぐ側で控えていた。サウンドウェーブの抜けを埋めるために移動したのだろう。ついでにメガトロン様にサウンドウェーブを見つけて護衛の任を開始した旨を報告しておく。
その姿を見て、俺のことを一応は信用してくれたらしい。俺が報告を終えて一旦退くと、フレンジーはすぐに俺を追ってきた。
「サウンドウェーブは大丈夫なのか?」
心配そうな声に、可愛いもんだと思う。相変わらずカセットロンはやっこさんにべったりだ。
「ああ、一応リペアはすんだぜ。それでお前を呼んでこいって言われたんだが」
内部通信で事足りると俺は思うんだけどよ。そう口に出しかけた言葉を飲み込む。そんな俺をフレンジーは不思議そうな顔で見つめてきた。
ん?こいつらにブレインスキャン能力はなかったはずなんだが。
俺は内心少しビビるが、俺の記憶は正しかったのがすぐに証明される。フレンジーが不思議に思って返した言葉は、俺の演算上にはないものだった。
「おかしいな。サウンドウェーブはさっき個人通信でサンダークラッカーとサウンドウェーブが来るまでメガトロン様の側でお仕えしていろ、って言ってたのに」
「は?」
「だから早くサウンドウェーブを連れてきてくれよお」
俺が感じている違和感には気づかず、フレンジーが心もとなそうにそう呻いた。
何を言ってやがんだ?
さっきの会話を思い出す。『フレンジーヲ連レテコイ』と、あいつは確かにそういった。
なんか嫌な予感がしやがる。
俺は踵を返してビークルモードにトランスフォームした。
「……フレンジー、お前、そこ動くんじゃねえぞ?」
「だから、俺はサウンドウェーブが来るのを待ってるんだから、動くはずないじゃないか!」
飛び立った後ろでフレンジーがそう叫んだ。
飛びながら、サウンドウェーブに基地内通信を入れるが、帰ってこない。
「また、スクランブルか?」
――いや、また来襲者があったとしたら、あの効率の良さを重視するサウンドウェーブなら護衛である俺を利用するはずだな。
不安とともに超特急で先ほどの区画へ引き返すと、誰もいない。
「すれ違ったか?」
我ながら希望的観測だとは思う。フレンジーに個人通信を入れると、コンドルがメガトロン様のところに来たけれど、サウンドウェーブ自身はまだ来てない、と返ってきた。
このタイミングで、コンドルをメガトロン様の所へ寄越すなんて。まるで自分の代わりに置いておくようもんじゃねえか。つまり、サウンドウェーブ自身はしばらくメガトロン様の所へ向かわないってことだろ?
やっぱり、また隠れられたのか。俺はまんまと出し抜かれたのか?そう考えてはみるが、その場合だとなにかまだ引っかかる。一種の予感のようなものが浮び、サウンドウェーブとの会話を記憶回路で遡った瞬間、俺は自分の言葉の中に考えたくもない可能性を見出しいてしまった。
「ちくしょう、こんなにあいつについて考えたことなんか、今まで一度もなかったってのに!」