モブレされた音波さんをジャガーさんが舌で掻き出す話(裏垢で6/14-15に話してた奴)
※モブレからの軽いジャガ音(未完)
※ちょっと生殖の概念があるので注意。
※性交描写がある為、18歳未満の方の閲覧は控えてください。
初代ホイラチェ・7
「ホイルジャック、君はどうなんだ?」
話しかけると、ホイルジャックがひどく驚いた様子でこちらに振り向いた。
ずっとすぐ近くにいたのだがね。私は大抵はホイルジャックと同じ待機時間なのだから居ない方がおかしいんだ。
バンブルが『またラチェットに怒られるよ』と言った時、スパイクがちらっとこちらに目線を送って来た。それに対して、聞こえてるよ。そう後ろから返そうと思ったその瞬間、ホイルジャックが弄っていたマシンが爆発したのだ。それにしても、忘れられていたという事実は心外である。
「手を見せてもらおうか?」
驚きに固まるホイルジャックなんてあまり見れるもんじゃないから物珍しくはあるが、こっちは医者だ。反応のない患者はさておき、さっさとその手を取る。
思っていたほどじゃない。すぐにほっとはする。しかし、手の中で爆発しただけあって、手の内はかなり焦げていた。表層部の怪我だが、熱で支障が出るかもしれない。この人は技術者でもあるのだから何か手の動きに支障が出ては困る。
「大したことは無さそうだが、回線がショートしているかもしれない。しのごの言わず、ちょっとリペア台まで来てもらおうか」
そのまま腕を引っ張り立ち上がらせると、ようやく驚きの呪縛から解けたらしい。ホイルジャックが情けない声をあげた。
「あいててて!ラチェット君、吾輩、一応は怪我人!」
「あんなに気もそぞろで機械いじりなんてするからだ」
「堪忍してえな」
もう一度だけ引っ張ると、ホイルジャックが渋々といった様子で歩き出す。このやりとりに、バンブルとスパイクが側で声をあげて笑った。
「笑い事じゃないんやけどな」
これに関しては私も同意見だ。
ホイルジャックが振り向くのにつられて後ろを見れば、ふたりともいってらっしゃいと手を振ってみせた。これは着いていかない、助けるつもりはない、という意思表示だろう。それを見て、やっとホイルジャックも諦めたようだった。
私の前で怪我をしたのだから、拒否権など最初からないのだがね。
「すまなかったね、君たち!」
区画のドアが閉まる直前、もう一度、ホイルジャックがうしろにむかって叫んだ。
怪我をさせかけたことはやはりショックだったらしい。
そこでドアが閉まり、ホイルジャックは小さく溜息をついた。そして、今度はこちらも謝ってくる。
「……ラチェット君も、すまんね」
まったく。このひとは。私が何に怒っているのか分かっていないのか。しかしこういうところは素直だし、本人に悪気は無いし、別に迷惑なわけではないから憎めない。
ある意味では私とは似ても似つかぬ性格でもある。
「流石に慣れたよ」
こういう時は説教をするべきなのだろうが、そう言うしかない。そして、こういう時にかけてやる言葉はいつも決まっていた。
「君が壊しても、私が治せばいい」
私のモットーであり、またこの奇妙な友情を表す言葉。ホイルジャックはこれを聞く度に、いつも照れ臭そうにしてみせる。
まあ、ホイルジャックにとっては、別に治すのが『私』じゃなくても構わないんだろうが。
そう思うと、なんとなく悔しくはある。
このひとのようなひとは少なく、私のようなのはそうでもない。私は戦士というよりは医療班で。ホイルジャックはそういう意味では同じ区分だが、発明の才能やら飛行能力やらは私には無い。私が怪我をした時は、ホイルジャックが私の面倒を見る。交換が簡単に効いてしまうのだ。
そんなことを考えてしまったからだろうか。いつもはここで切り上げる言葉をつい繋げてしまう。
「ただ、頼むから私が治せないような怪我はしてくれるなよ?」
そうでなければ、私はこのひとにとって役立たずだ。それだけは避けたい。それに、この『今まで一番修理しなくちゃいけなかったやつ』におちおち壊れてしまわれても困る。私だってキツイことは言っても、仲間が傷つくのは嫌だ。(もちろん、修理に追われるだけの生活ってのも嫌だ。)
「君ほどの医者がどうしたんだね」
そんな私にあっけらかんとしてホイルジャックが返した。何を根拠にとは言い返したいが、褒め言葉ではあったことには思いついた皮肉を飲み込む。
「しかし、吾輩としては『毒にもなるが薬にもなる』なら、毒も試さずにはいられない性分なんだけどね」
これを聞いて、彼の本質は確かにここなのだろうなと思う。兵器になるとしても何かに役に立つものなら作ろうと思うし、作ってみればちゃんと機能するかどうか試したいと思ってしまう。自分を傷つけてまでも、彼の言う『調節』を重ねてより強いものへ作り変える。そういえば、いつかの作戦で、司令官が動かすなと言ったあのダイノボットを利用しようとしたのも彼だった。
その毒まで食らう根性をよく物語っているのが、彼の頭部をぐるりとめぐるマスクパーツだ。爆発の耐えない作業の怪我から頭部を守るためにがっちりと後頭部からボルトで留められたその表面には、何度塗装を塗りなおしても大小の傷が無数にあるのが見える。傷つく前提でマスクをつけているのは、少しぐらい自分が傷ついてもいいと思っている証拠だろう。
やっと着いたリペア台に座らせながら、ホイルジャックに釘をさす。
「毒の飲み方を知らないと、いつか身を滅ぼすぞ」
「へへ、相変わらずきっついなあしかし。でも、流石に医者が言うと重みがちがうねえ」
「よく言うよ」
話しながら軽く検査をするが、手の内部の回路にも特に大きな損害はない。指先まで痛みなく動くようだ。そこでやっと本当に安心する。このひとに関しては、心配しすぎるに越したことはない。
ほっとしたところで、私は不意にハッとする。
今がチャンスなんじゃないか?
触れてみたいと思ったあの時から、あのもっと知りたい触れたいという衝動がなんだったのかと試してみたくあった。
その手をぐっと掴み、手を挟んでホイルジャックの青い目を覗き込む。この間、ホイルジャックが私の肩を掴んで、覗き込んできたように。――あれの何が私にとって問題だったのか?
2015/5/16
初代ホイラチェ 6
今日は、テレトラン1の前に座って待機していると、よく話しかけられた。
「なんだ、ホイルジャック。じゃあ、結局惚れ薬はやめたのか?」
「面白い案ではあったんだけどね」
手持ち無沙汰なメンバーが、テレトラン1の近くにたむろすることのはよくあることだ。それでも、こうも会う機体会う機体に話しかけられることはめったになかった。
惚れ薬の噂は打ち切りになる前までにかなり話題になっていたらしく、手すさびに昔の失敗作をいじっているところへ、何人かに惚れ薬の進捗を尋ねられる。意外とみんな興味がある分野らしく、聞かれるとは予想もしていなかった機体にまで声をかけられた。
吾輩が兵器にならないものを喜んで作るってのがそんなに珍しかったのか。それとも、意外と本当に需要に適っていたのか。
そのせいか、心理実験のことを持ち出すと、かなりの者がボランティアとして参加してくれると約束してくれた。吾輩が気にしていなかっただけで、みんなそれぞれ男性タイプにしろ女性タイプにしろ思うところのある機体が居るようだ。
『君はいつまでたっても恋愛ごとには慣れないなあ』。彼にああ言われた時は最初にムカッとしたが、本当にその通りだったのかもしれない。
でも、なんであの時、あんなに苛々したのだろう。注意散漫気味にそう思う。
いいや、吾輩だって流石にこれだけ長く生きているんだからそれなりに腫れた惚れたに騒いだことだって一応はあるよ?かなり昔のことではあるけれど。しかし、それだけじゃ――
ふいに、あの時何を考えていたかを思い出す。
……彼がいままでどんな関係性を他と築いていたかは知らないが、か。これじゃ吾輩が嫉妬しているようじゃないか。
思考がこんがらがる中、手の中の失敗作が小さく音を上げた。いかんせん、どうも気が散ってしまう。
とにかく。比較できるような惚れた腫れただのことが昔過ぎるから曖昧で、明確な理由も見つからないが、あの数値が表す意味には吾輩の彼への気持ちは当てはまらない。そうは強く思う。はっきりは言えないが、そうでないと困る。困る?しかし、彼とは今の関係性が一番なはずなのだから、それ以上を自分が何か望んでいるはずがない。彼は吾輩の友人で、とにかく、『お気に入り』の機体という意味での好意を持っているってことでしかないはずなのだ。
その域を出ないはずなんや。そう。気に入っていると言うだけなら、このミニボットや人間も吾輩の『お気に入り』だ。
「コンボイ司令官の許可が下りなかったんだってね」
「聞いたよ。残念だったね」
バンブル君とスパイクがそう口々に言って慰めてくる。吾輩のお気に入りの親友コンビのふたり。しかし、彼らの誰かとの色恋沙汰の噂を聞いたとしても、嫉妬はしないだろう。微笑ましい以外の感想が出てこない。
……どうも彼は少しばかり近すぎるのかもしれんな。それでも、彼があまりそっち方面に興味が無さそうだから、吾輩としては安心だ。
安心、という言葉を浮かべて、自分でまた苦く笑う。理由の付けられないことが多すぎる。これ以上考えるのはよそう。
「その代わりと言ってはなんだが。好意や嫌悪についての心理実験の許可は司令官にもらったんや。よかったら今度バンブルくんたちも参加してくれんかね。簡単なテストだから」
「オイラは構わないよ」
「それって僕も受けていいの?どんなことをするんだい?」
「そうさね……」
実験について説明し始めると、またその横を通りすがりに惚れ薬について尋ねてくる者がある。その度に、やめたのだと訂正をする。
その様子を見ていて、バンブル君が感嘆するように言った。
「惚れ薬、って。結構需要があるもんなんだね!」
「これは吾輩にも意外だったのだがね」
その表情を見ると、やっぱりどこか惜しい気分になってくる。
でも、ここまで周知なら、みんなに発表する楽しみは無かったかもしれない。みんなの驚く顔がやっぱり発明の醍醐味のひとつではあるからなあ。
だから、こういう失敗作でも、面白そうなモノにはたまに手を入れてしまう。手元のマシンを見てそう思う。
「……でも、今思えば。惚れ薬を吾輩自身に実験で使うのくらいは作っても良いか、くらいは許可を取っておくべきだったかもね」
「でも飲み薬って言うと、機体に取り込むんだから。失敗したら身体に毒なっちゃうんじゃないの?」
慰めなのか、スパイクがそう言って肩をすくめて見せる。
そうだった。機体の内部に影響するのだから、たとえ成分に変なものが入っていなくても――
「そうだよ。またラチェットに怒られるよ」
バンブル君に思考を先取りされる。突然出てきた、彼の名前に、自分がひどく動揺したのが分かった。頭の中をのぞかれたような感覚に、思わず、試作品を握り締める。すると、手元で弄繰り回されていたマシンが小さく光り――
しまった。先ほどから適当なことをしていたから、小さなショックにも耐えられなくなっていたらしい。
「おっと!」
悲しいかな、こんな事態には慣れている。
瞬間的に、ふたりから腕を遠のけ手の内で――爆破させた。
同時に、ふたりが小さく声を上げる。握り潰したおかげで、部品が飛び散ることもない。しかし、一応安全を確認する。
「ふたりとも怪我は無かったかね?」
すぐさま尋ねると、バンブルとスパイクが首を振ってみせた。
「よかった。本当にすまない。誤ってボタンを押してしまったみたいでね。ここで話しながら片手間に弄ってたのが悪かった」
「……ちょっと吃驚はしたけど、僕らは大丈夫だから」
そう言って、安心した顔をし合う。が、次の瞬間にふたりの顔が苦笑いに変わる。
その理由を想像する間もなく、後ろから声がかけられた。
「ホイルジャック、君はどうなんだ?」
2015/5/10
チョプフィク・1
※TFADVチョップショップ×フィクシット (1)
ポッドに再収容された囚人たちの様子を確認するのは、フィクシットの日課のひとつになっていた。
とは言え、以前、物言わぬコールドスリープ状態の囚人たちに囲まれて宇宙を孤独に旅していた時にしていた業務と寸分違わない。ただ、その仕事に対する彼の気持ちは全く異なっていた。
もちろん、囚人たちを逃してしまった自責はある。それでも日々埋まっていくポッドの間を歩く作業をどこか喜ばしく感じているのは事実であった。目に見えて分かる、チームの功績である。
バンブルビーを筆頭としてオートボットやダイノボット、ひいては人間に至るまで。今は頼れる仲間がすぐ側にいる。――――以前はひとりで何もすることがなく、むしろコールドスリープ状態で何も知らずに眠っている囚人たちを羨ましくさえ思っていたほどであったのだが……
特に、ある囚人が捕まってからというもの、フィクシットにとってポッドの見回りという地味な業務は楽しみにさえなってきていた。
ぼくが居たから、コイツを捕まえられたんや。
定期点検以外は視認で済ませるだけの見回りの時、フィクシットはいつもチョップショップという名の合体戦士のポッドの前にしばし足を止め、そんなことを思う。
アルケモア号を墜落させて囚人たちを解き放ってしまって以来、自分が仕出かしたことの尻拭いをバンブルビーたちにさせているという気持ちは少なからずあり、 フィクシットをずっと苛んでいた。好奇心という点でも現場に出て行きたいという思いはあったが、責任を取るべき当事者でありながら何もできず基地で仲間の帰りを待つのは耐え難かったのである。
だから、仲間たちが「こいつを捕まえられたのは、フィクシットのおかげだ」と言ってくれた記憶のあるその機体には、少なからず思い入れがある。それに、非戦闘員である自分が現場で役に立った証拠でもあるのだ。
マイクロンのぼくでも、出来ることがある。
ポットの中の大きな機体を見る度、フィクシットは自分をそう誇りに思える気がした。確かに彼は囚人たちを逃がしてしまった。しかし、責任をとることは(容易くはないが)彼にも出来るのだ。また、監獄船にひとり居た時は、5体でひとりにもなるその合体兵士が羨ましくてしかたがなかったのもあり、フィクシットにとってチョップショップは『特別な』ディセプティコンのひとりでもあった。
が、フィクシット自身も、そのチョップショップにとって『特別』視する対象であるとは彼は微塵も思ってもいなかった。
最後ノックアウトさせたんは、ぼくじゃないやん!
なんでぼくなんですの?
確かに、ぼくが抜け駆け……歯っ欠け、いや、切欠だったかもしれへんけど!
非戦闘員やし、人質みたいになってた時も会話すら無かったのに!
頭の中に聞きたいことや言ってやりたいことが浮かんでも、発散されずに消えていく。自分の口を押さえ抱きかかえている四つ目の合体兵士を見つめながら、どうしてこんなことになったのか。フィクシットは泣き出しそうになった。
いつもと変わらない一日の終わりやったはずやのに……
「それじゃ、俺たちはパトロールに行って来る。ストロングアームとサイドスワイプが待機しているから、こっちの方は大丈夫だと思うけど。何かあったらすぐ連絡する」
「はーい、行ってらっしゃいー」
車にトランスフォームして颯爽と出て行くバンブルビーとそれに続くグリムロックに手を振り振り見送る。そのまま伸びをすると、ロケットの形をしたゲートの上空に月が昇っているのが見えた。
今日はなんも起こらんで終わりそうやな。
日が沈んで暗くなり、人々が眠りにつき始め、トランスフォーマーたちの姿が目立たなくなった頃。つまり、ディセプティコンが闇に紛れてより大掛かりに動き出す時間。しかし、時刻が真夜中に近づいても、森や街に変わった様子はなく、そのまま平和のままに一日が終わろうとしていた。
そこで、手持ちぶさたでヤキモキしているバンブルビーのパトロールついでに、日中外に出られずにいるグリムロックが気晴らしとして同行することになったらしい。見回すと、バンブルビーの言葉通り、他の二機が待機していた。ストロングアームは特訓の最中で、サイドスワープは遠くで音楽を聴いているのが見える。ラッセルもデニーもワゴンの中に居るらしいのが、窓から漏れる灯りで分かった。
「じゃあ、ぼくはポッドの点検でもしましょかねー」
誰に言うわけでもなく、ぼくはそうひとりごちった。
何か異常があればぼくの定位置であるコンピューター前の画面に情報が発信され、すぐに誰かが気づける。だから、持ち場を離れるのには何のためらいも無かった。
そんなに距離も無いしなあ。
この基地もやっと整備が整ってきた気がする。アルケモア号の中枢の再現はかなり進んだ。最初は墜落した船から回収した壊れたコンピューターやコンソールやポッドやなにやらで雑然としていたが、ようやく整理がなされ、特にコンピューターとポッドの集められた一帯だけかつての監獄船の様相を取り戻しつつあった。
「なんの問題も無しやな」
点検と言っても、毎日視認で確認されコンピューター制御でスリープモードに保たれているポッドたちに大抵問題は見つからない。ハンマーストライク、ビスクの二機のポッドを確認し、そしていつも通りチョップショップのポッドの前に足を進め――
ぼくはつんのめった。
「嘘やろ!?」
目の前の光景に、ついに自分のオプティックまで壊れたのかと思う。
思わずあげた悲鳴に近い驚きの声に、ポッドの前にいた『そいつ』が振り向いた。
「ありえへん……!」
スキャナーも追跡装置も復旧してるのに。シグナルを発信する設定になってるはずやろ!?
否定の言葉が口をついて出る。しかし、相手はそんなぼくに対して自分の存在を示すかのように、意地悪く笑って言葉を投げかけてきた。
「よう、坊主。ここで会ったが百年目たい」
チョップショップを捕獲した時に逃してしまった五体のうちの一体。赤い大きな蜘蛛の姿をしたディセプティコン。
そうか、残りの四体が基地の中のポッド内に居るせいで、センサーがうまく感知できてないんや。
無言で動けずにいるいるぼくにニヤリと笑って見せるその赤い蜘蛛の後ろで、ポッドの扉が開く。そこから漏れ出した冷気の意味を知っているぼくは思わず後ずさった。
入口に赤い手がかかり、続いて大きな機体がゆっくりと姿を見せる。
危険。まずい。あかん。ダメージのあっても、それだけは分かる。チョップショップは一人だけで、チームを窮地に追いやった存在や。
無理やって!ぼくひとりだけで勝てる存在じゃない!
その足りない右腕の部分に、先ほどの一体がくっつき、その腕がこちらに伸びてくる。
慌てて距離を取る。が、途端、背中に他のポッドが触れた。
しまった――――
ゆっくりとまっすぐ近づいてくる巨体から逃げようと横に走り出す。しかし、笑い声が聞こえるとともにすぐに腕を摑まれ、高く捩じ上げられた。強い力に肩の関節が悲鳴をあげる。そして、恐怖で押し黙っていた声の方も、そこまでが限界だった。
「あわわ、メーデー!メーデー!」
発生器からやっと絞り出た声は、仲間が目と鼻の先であるのにもかかわず小さく、誰にも届かない。
誰か、誰でもいい、気づいて――――
宙に浮いた体がポッドに押し付けられ、大きな掌に首を絞めらる。
「う、っ」
「……よクモ、俺らば閉じ込めとーと」
ああ、これからこいつに復讐されるんや。
抵抗すれば、ギュッと首を締める力が強まる。
フリーズしていくシステムの中、黄色く光る4つの目だけが、細く鋭くこちらを見下ろしているのが妙にセンサーに色濃く残った。
20150501
同日、加筆・誤字修正
Cosmos: A Space Odyssey, S1Ep1
Cosmosのドキュメンタリーを今晩から寝る前に1エピソードずつ見直そうかな週間。宇宙好きなんすよ。このドキュメンタリーはヘッドフォンつけながら観ると、通り過ぎていく音がリアルで面白い。また、天体に関わる逸話や文化史にも触れてくれて有難い。
第1話では、地球を起点として住所を大きくしていくのが壮大で好き。MIBの銀河のオチEDと被るものがあるので、ああいうの好きな人は多分見入る。
ブルーノの”your God is too small”ってセリフが信仰は捨ててないのに認められないのが悲しい。
(天動説から地動説に移るパラダイムシフトって自己中心的な幼児性万能感からの脱却にも思えてきた。)(???「人類は遥かに幼い種族だ」)(洗脳かな?)
幼い頃、『せいめいのれきし』という絵本が好きでしたが、素晴らしいグラフィックスで宇宙誕生から追えるのが素晴らしい。生命の進化とか地球の表層の変化は絵本の方が詳しいけど、このナレーターの締めは本当に感動する。オススメです。
*他ブログの閉鎖を機に細々書いていたものの転載*